Leica M10/M10-P レビュー(使用1年8ヶ月経過後)

ライカM10からライカM10-Pにシームレスに移行(笑)して約4ヵ月が過ぎた
ボディサイズ・画質云々についてはライカM10と同じなのでその点においては実質的には約1年半強(正確には1年8ヵ月間か?)使用したレビューとして読んでいただけたらと思う
またライカM10-P移行直後の細々とした気づき等については以下のエントリーも合わせてご覧いただきたい
Leica M10-Pのこと(私的備忘)

  • シャッターについて

    僕がM10からM10-Pに買い換えた理由の全てがこの静音シャッターだったわけですが 今でも満足度は半端ない
    僕はMM(typ246)も使っているが もしM10のシャッター音がMM(typ246)のそれだったら買い換えていなかったかもしれない
    M10を買った時にまず違いを感じたのは甲高いシャッター音だった
    シャッター音の大きさというより音色の方が気になった
    この音だったらフジのX-Pro2のシャッターの方がいいなと感じていた
    M10-Pのシャッター音は音色もマイルドで本当に小さい
    M10のシャッター音に違和感がある人はこの1点だけでも買い換える価値は十分にあると思う

  • M型フィルム機との親和性とISOダイヤル

    フィルム機のLeica MPとボディの厚みがほぼ同じなので同時に持ち出して使っても違和感が全くない
    違いは重さだけど そもそも装着するレンズによっても重さは違うので併用するにはさほど気にならない(もちろん重さもフィルム機並みになるに越したことはないが)
    むしろフルマニュアルのMPで撮っているとデジタルMのISO自動&絞り優先AE+露出補正での撮影操作が煩わしく感じられる時がある

    M型フィルム機を使ったことがある方ならお判りと思うが フィルムMには露出補正という概念がなく常にシャッタースピードと絞りで露出を調整する
    対してデジタルMでは一見便利そうに見えるISO自動&絞り優先AE+露出補正で撮ることができるがこれが意外とフレーミングを少し変えるだけでカメラが自動的に設定するISOやシャッタースピードが変わってしまい さらにそれを補正するために露出補正ダイヤルを使うという行為が発生してしまうケースがある
    要はISOとシャッタースピードとか勝手に変わってしまうので まるで数学で変数の多い数式を扱っているようでフィルムMで撮影している時の心地よさがスポイルされるのである

    M10以前のデジタルM機ではISO設定はメニューの中だけにしか存在しなかったのでフィルムMと同様に絞りとシャッタースピードだけのフルマニュアルで撮ろうとするとどうしてもISOを固定しがちでデジタルの恩恵を受け辛かった
    これがM10になってISOダイヤルが上部につき物理的に手動で設定できるようになったことでフルマニュアルで撮影していてもまるでその場でISO感度の違うフィルムを入れ替えるようなイメージでデジタルの恩恵を得られるようになった

    フィルムMと同時に持ち出しても厚みだけではなく操作も同一に出来かつISOダイヤルにより感度を思いのままに選択できるのは想像するよりはるかに心地よい

    余談であるがISOダイヤルは上に引っ張り上げて使うが僕が購入した当時は個体差があって硬すぎる個体もあるようだったので買う前に一度操作してみることをお勧めする

  • タッチパネル

    M10から乗り換えるときはあってもなくてもどうでもいいな~と思っていたが あれば普通に使います (笑)
    ほとんどピントチェックのダブルタッチだけだけど その他ではINFOパネルでのユーザープロファイルの選択によく使う

  • これからのデジタルMとM10-P

    デジタルMは他のカメラと同様にこれからも画素数やダイナミックレンジや高感度特性はどんどん改善されていくと思う
    何か新しい革新的な機能も搭載されるかもしれない
    そのことはデジタルデバイスの最大のメリットであり宿命である

    でもその一方でM10-Pはコンピュータではなくカメラである
    原点に戻って考えるとカメラは写真を撮るための道具であり その写真の最終形がプリントだとしたら M10-Pが画質面において陳腐化して使えなくなることは当分考えなくて良さそうである
    加えてこうしてM9からMM(typ246)そしてM10/M10-Pと使ってきて僕が感じることは今回のレビューでも書いたとおり ”いかにシンプルに撮影に集中できる道具であるか”を追求した結果であり それは長年培われたフィルムMと同等の使い心地として表現され シャッター音やISOダイヤルなどはフィルムMを超えるものとして表現されていると思う

その意味においても ライカは10年の歳月を経てようやくデジタルMの一つの完成形を作ったと思う

Leica M10/M10-P 関連レビュー

  * ライカとMマウントレンズのよもやま話はこちら